第20話:無職時代再び(2)

 ある晴れた平日の午後だったと思います。
 JR三ノ宮の北口を出たすぐにある、にしむらコーヒーでIT会社に勤める友人
 と待ち合わせをしました。(前回でご紹介した人です)

 婦人服のECショップを経営したいと考えていた私は、会ってすぐに彼に、
 婦人服をインターネットで販売したい事や、安い服がさらに安く仕入れる
 ルートがある事などを熱く語りました。
 彼は一通りそれらの話を聞いたのか聞いてなかったのか分かりませんが急に
 「今度、ポートタワーの近くでよく知ってるがフリーマーケットやってるん
 で、それで出店せーへんか?」
 と、言い出しました。
 「お、おおん」
 おそらく、驚きと戸惑いでそんな返事をしたように思います。
 「ECは?え?ECは?」と思っていたところ、さらに
 「俺も手伝うから一緒に売ろうぜ」みたいに言われました。
 多分、知り合いの会社からフリマの出店数が少ないからどっかない?とか
 相談されてたのかも知れませんが、前向きに気にしない事にして、
 むしろITのプロがフリマと言うからには、なんか秘訣があるんだろうと信じ
 込み、そのフリマに張り切って出る事にしました。
 当時、時間だけはたっぷりありましたし。

 売るための服は知り合いのメーカーまで車で行き、大量に借りて来ました。
 売れた分だけでいいよー。と言うてくれました。色やサイズが欠けた
 2900円~3900円の商品は一枚500円で仕入れる事ができ、フリマ向きでは
 ありました。
 さらに、うちの実家はマネキン屋ですので、ディスプレイには、ハンガー
 ラックやワゴンなど借りて比較的綺麗にディスプレイしました。

 結構フリマは盛況だったような気がします。
 終わりの時間の1時間前くらいにようやく友人が来て、
 「売れてるか~」
 と言い放った後、
 「岩田、うちの会社で働かんか?」
 と言い出しました。
 ひどく暑かった夏の日の夕方でした。

(次号につづく。。。)