第16話:婦人アパレルへの転職

31歳の1月から転職活動をし始めます。
当時はまだ雑誌の時代でした。時代ですね。DODA(デューダ)とか天職雑誌
を買っては、会社に電話していました。今は便利な世の中になりましたね。
同時に、職業安定所に行ってました。
これも時代ですね。今の名称はハローワーク。いい名前。

なんかしら実家の仕事の役に立つ仕事はないかなあと探していた時に、家の
近くにある婦人アパレルのメーカーが出していた、営業マン募集の要項を
ハローワークで見つけます。
電話して面接に行ったら、その場ですぐに合格。
どうも先輩の営業マンが3月で辞めてしまうので1か月で引き継いでほしい。
という、その会社も急ぎの事情があったようです。

めでたく3月からそのメーカーで働きに行く事になりました。
婦人といってもミセスなので40代から60代向けの婦人服で興味も知識もなく
ちんぷんかんぷん。
価格は非常に安く、3,900円とか4,900円とかの商品を中心に販売している
メーカーでした。
メーカーとは言っても、私の採用と同時期にはじめてデザイナー職が会社に
採用されたみたいで、それまでは中国とか韓国でなーんちゃっての流行りの
商品を市場で買ってそれを街の小売店へ販売する会社でした。

面接の時には気付かなかったのですが、やっぱり正式に出勤しだすと何か
こう上手に説明できないのですが、空気がカタイんですよ。
なんか、こう思ったように発言できない雰囲気というか、なんというか。
一言でいうと、ちょっとやばい感じです。そんな感じがしました。

そんな中、衝撃が私を襲います。
入社2日目の事、タタミという自社の服を畳む仕事を任された時なのですが、
その服の中から、「FENDI」フェンディという有名ブランドに似た「PENDI」
ペンディという商品を見つけます。
さらに、「FENDI」のマークは通常アルファベットの「F」の文字が2つ重な
ったマークが特徴的で有名なロゴになっているのですが、この会社には、
「F」と「L」の文字が2つ重なったマークの服をたくさん見つけたのです!
「あの、これは・・・?」ってちょっと聞きにくそうに私が質問すると、
社長が、
「これ、よー売れんねやー」って返事でした。
解説によると、「FENDI」を作るとこれはニセモノで犯罪になるが、
「PENDI」はオリジナル商品なので、セーフなのだそうな。。。
どっかで聞いた事のあるような解説。。。

ちょっと考えましたが、その週の週末には
「会社を辞めたいのですが」と上司に相談していました。
「なんで?」って聞かれたのですが、
「いや、やばそうな会社なので」とも言えず、
「日本酒の販売と違ってて、婦人服の販売はやっぱり自信がありません。」
と、非常にそれっぽい理由をつくって言いました。
すると上司は、「せめて3か月、試用期間だけでもがんばってみ?」
って言われたので、
きっちり3か月の使用期間満了で辞めました。


(次号につづく。。。)