第13話:社内営業コンテスト編

平成12年に、会社が急に「社内営業コンテスト」なるものをはじめました。
売り上げも右肩下がりなので、何か起爆剤を。みたいな感じだったのでしょ
うか。今までなかった「報奨金」なるものが出される事になりました。

金額は1位のみ四半期毎に10万円くらい。もうあまりはっきりは覚えていな
いのですが、それくらいだったような気がします。
全国5支店の営業マン総勢25人~30人くらいを対象に、昨年対比をベースと
した予算対比で順位が付けられました。

第一四半期(4~6月)の1位は前回登場した長瀬でした。
確か6月の最終月に、うなるぐらいに卸先に商品を放り込んでなんか賞金を
もらっていました。(その反動により7月は全然売れずに支店長にめっちゃ
怒られてましたが)
彼はその報奨金を結構、豪遊して使いきってたようなイメージがあり、そん
なお金の使い方をうらやましく思っていたような記憶があります。たぶん。

で、第二四半期(7~9月)、第三四半期(10~12月)は両方とも、私が1位
をとりました。
というのも事情があって、この年から和歌山県の大手ディスカウントストア
への納品数が爆発的に伸びたというのがあります。
市場がない(知名度がない為売れる地盤がない)為、かなりの値引きをして
このエリアでのシェアを戦略的に獲得しに行ったのですが、後からこれらの
商品が、他県のまだ知名度があるエリアにどうやら横流しをされていたよう
なのです。
それは売れるはずです。
でも、当時はまだ私も若かったですし、知ったこっちゃないので、ガンガン
値引きしてじゃんじゃん売り飛ばしていました。
(もちろん支店長には許可を得た上て売ってました。)

また、それと同タイミングでコープこうべさんにプライべートブランドが新
規で導入されました。
以前、製造していたメーカーさんが撤退したとかで、非常に政治的な感じで
企画が舞い込んで来て、かなりたまたまな感じで私に売り上げがついた。
という経緯で一切営業力など発揮していないのですが、これもまた売れまし
た。PBなので他のNB商品より力を入れて売ってくれたのです。
ラッキーも実力の内。と言いますし。。。
しかし、この時につくった商品の紙パックのラベルが非常に秀逸で、私が
「こんな感じで徳利と猪口と書いて、商品名をこういれて・・・」と描いた
手書きの下手な絵を基に、イラストレーターさんがそれは味のあるパッケー
ジにしあげてくれました。
今にして思えば1つ取っておけばよかった。
「今宵一献」という名前でした。
自分が企画に携わった商品が売場にならぶ。お客さんの手にとってもらえる。
買って飲んでもらえる。料理に使ってもらえる。。。
メーカーという職業についてよかったと強く思った瞬間でした。

で、報奨金の話に戻りますと、その支払いが遅滞します。
待てど暮せど報奨金はやってきません。
そしてついに支店長に、
「岩田の売上はよかったけど、利益が出てないから報奨金は出ないって営業
本部に言われたわあ。」
と言われてしまいます。

まあ、お金はいいですわ。お金でやってた訳ではないので。
なんかそんな恰好のいい事を本音半分、やせ我慢半分で言ったような記憶が
あります。
その替りに
「平成12年度社内営業ランキング1位」の称号をもらえた事は嬉しかったで
すし、その後の転職活動の際に履歴書に書けるのでよかったです。
いくつかの偶然が重なって得た「栄誉」ではあるものの、「栄誉」というの
もやはり自分への自信に繋がるものなんだなあと感じました。

この時代、一緒に働いてた1つ年上の先輩が厳しくて、
「がんばってるか?」って聞かれて
「はい」って答えたら
「いや、お前はがんばってない。」って言われた。って
長瀬がよくネタにしてました。

(次号につづく。。。)