第26話:東京

東京の赴任直後に、社長が2名採用したよ。といって同時に2名連れてきてくれました。

一人は、優秀そうな女性と、もう一人はぶっきらぼうな大塚という私の1歳下の男性でした。

新しく借りた事務所に新たに2名がジョインし、まさにこれからやるぜ!って感じでスタートをしました。

2人の初日は、社長も含めて4人で事務所で仕事をし、4人で昼食をとり、4人で晩御飯を食べて解散しました。

あけたその次の日、優秀そうな女性が会社に来ません。

連絡をしたところ、フィンランドのお父さんが亡くなった為、今からフィンランドに行かなければならなくなったそうです。

「それは大変ですね!戻ってきたら連絡ください!」って伝えて、来る日も来る日も彼女の帰りを待ち続けました。

ぶっきらぼうな大塚は、「もう来ねえんじゃねえの」とか「岩田さんがいじめっから来なくなったんだよ」とか、お願いもしていないのに、いろいろと私を励ましてくれました。

お願いもしていないのに。。。

結局、その女性は二度と会社に戻ってきませんでした。。。

フィンランドが嘘だったんだな。って気づいたのは、ほんのつい最近の事です。

今なら、さすがに「それは無いわああ」って思いますが、当時32歳の私は素直だったのです。

それからしばらくして、社長が今度は

「岩田の後任採用したよ!」って、会社に連れてきたのが藤本っていう私と同い年の人間でした。

以前はドコモショップで店長やってた。っていうから、ニックネームを「店長」にしてみんなでそう呼んでたら、しばらく経ったある日、本当は店長じゃなくって「副店長」までしか昇進してなかった事が判明し、大塚が「店長じゃねーじゃん!副店長じゃん!」ってまた大きな声でいじり倒していました。

お願いもしていないのに。。。

なんのこっちゃ

続く